耐震等級についてお話していく前におさらい。
耐震の基準は
・耐震基準
・耐震等級
この2つがあります。
耐震基準は命を守るための基準
耐震基準とは、一定の強さの地震に耐えられるように建築基準法が定めた最低限クリアすべき基準のことです。
家を建てるときには、最新の建築基準法が定める耐震基準に沿って建てなければなりません。
これがクリアできていなければ、違法建築ということになりますので、建築確認が取れている住まいはこの基準はクリアしています。
建築基準法についてはこちらの記事で詳しくお伝えしています。
耐震基準と耐震等級の関係とは?
耐震等級とは?
耐震等級は、地震に対する建物の強度を示す指標のひとつです。
住宅の性能を表す指標であり品確法に基づいて決められたものであり、建築基準法で定められているものではありません。
耐震等級を説明する前に「品確法」について説明します
品確法とは?
平成12年4月1日に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律」のことで、国土交通省と消費者庁の共管になっています。
制定された背景
住宅を購入する、もしくは新築する際、住宅の良し悪しの判断をするのが非常に難しい上に、特に注文住宅の場合でいうと、同じ家がないので比較することができません。
1990年代ごろから手抜き工事や欠陥住宅が社会問題が浮き彫りになってきたことをきっかけに、住宅品質の基準を決め消費者を守る法律として定められました。
品確法の3本柱
①瑕疵担保責任の特例
新築住宅の基本構造部分の瑕疵担保責任期間を「10年間義務化」すること
②住宅性能表示制度
様々な住宅の性能をわかりやすく表示する「住宅性能表示制度」を制定すること
耐震等級の他に断熱等級などが関係しています。
③紛争処理体制の整備
トラブルを迅速に解決するための「指定住宅紛争処理機関」を整備すること
耐震等級の違い
耐震等級はこの品確法の「住宅性能表示制度」で定められた耐震性能に関する認定基準です。
地震に対する倒壊のしにくさを
耐震等級1~3
の段階に分けて示しています。
耐震等級の数字は大きい方が性能が高くなっています。
建築基準法とは異なり、認定基準のため必ずしも認定を取る必要はありませんが、
自分の住まいがどれぐらい地震に強いのか判断基準があることは万一の際に安心です。
また、認定を受けることで金利や税制などのメリットもあります。
耐震等級1
建築基準法で定められた「耐震基準」と同等の基準
①震度5強相当(数十年に一度程度発生する規模)の地震による力に対して、倒壊・崩壊しない
②震度6強~7相当(数百年に一度程度発生する規模)の地震による力に対して、損傷を生じない
昭和56年以降に建てられている住まいや、これから建てる住まいは
特に耐震を考慮していなければ、耐震等級1を満たしているということになります。
耐震等級2
耐震等級1の1.25倍の耐震性があることを示す
①震度5強相当の地震に対して、耐震等級1の1.25倍、倒壊・崩壊しない耐性がある
②震度6強~7相当の地震に対して耐震等級1の1.25倍、損傷を生じない耐性がある
なお、災害時に避難所となる学校などの公共施設は、耐震等級2の基準を満たすよう定められています。
また、「長期優良住宅」として認定されるには、耐震等級2以上である必要があります。
※「長期優良住宅」とは長期にわたり良好な状態で使用するための措置講じられた優良な住宅のことで、 長期優良住宅の建築及び維持保全の計画を作成し、所管行政庁に申請することで認定を受けることができるものです
耐震等級3
耐震等級1の1.5倍の耐震性があることを示す
①震度5強相当の地震に対して、耐震等級1の1.5倍、倒壊・崩壊しない耐性がある
②震度6強~7相当の地震に対して耐震等級1の1.5倍、損傷を生じない耐性がある
耐震等級3は現行では最高基準であり、警察署や消防署などは耐震等級3の基準を満たすように設計されています。
中澤勝一建築が耐震等級3を標準とする理由
耐震等級1の性能があれば、建築基準法はクリアします。
耐震等級を上げれば、建築費用はその分増えます。
にもかかわらず、
中澤勝一建築では耐震等級3を標準としています(新築の場合)。
それは、
「安心安全」のために一番良いものをご提供する」
が私たちの使命だからです。
例えば、耐震等級1の住宅しかたてたことがない会社と耐震等級3の住宅も建てられる会社では、後者の建築会社の方が安心です。
また数十年に1度程度と言われる震度5の地震が、すでに何度も起こっていることがあげられます。
気候環境もこれまでの常識がどんどん変わっているなかで、家も従来と同じ考え方では安心とはいえなくなっています。
大切な家族の命を守る場所である家は、今できる一番安全を採用することが結果的に一番安心に繋がると考えています。
松代を拠点とする工務店だから
最近では、
白馬や小谷の地震がありました。
長野市近辺は、近々では地震による大きな被害を体験していませんが、1965年には5年にも及ぶ松代群発地震を経験しています。しかも、いまだ地震活動は続いていて、無感の地震が年に数百回と観測されているそうです。
年間をとおしてみると長野周辺は地震がほとんどありませんが
大きな地震が起こる確率は高いと言えると思うのです。
中澤勝一建築は、その松代を拠点としていますので、
地震に対して安心安全な住まいをご提供しないという選択はないわけです。
耐震等級のメリット
国という大きな視点で見れば、
日本は地震大国ですので、国としても地震に対して最大の備えをしてもらうべく、優遇制度などを設けて耐震等級の高い家づくりを推奨しています。
耐震等級を上げることで、家が地震に強くなるだけでなく、制度上でも優遇されます。基本的に新築に向けた制度です。
リフォームについては、固定資産税の減税などの優遇があります。
それぞれの制度の詳細は、以下で確認できます。
●地震保険 ⇒ 各損害保険会社のサイトをご確認ください。
●フラット35⇒制度の詳細はこちら
●長期優良住宅⇒一般社団法人住宅性能評価・表示協会
中澤勝一建築では、まとめてご説明させていただけます。
耐震等級のデメリット
耐震等級を上げるデメリット。
はっきり言ってありません。
安心のためのデメリットって何でしょう。
よく言われるデメリット、
●費用が掛かる。
●間取りに制限がかかる
確かに丈夫な材料を使ったり、強度を上げるために使う材料が増えるので建築費用は高くなります。
構造を強化するために特定の場所に梁や柱を設ける必要があるため、設計上の制限が生じる場合があります。
しかし、安全を考えれば決してデメリットにはならないと思うのです。
ちなみに間取りはデザインで工夫できます。
それが建築士の腕の見せ所でもあります。
何のための家なのか
確かに耐震等級1と3とでは費用差が90万程度という試算があります。
何かあったときにその差額が大きいものなのでしょうか。
広い空間を作っても、
「こんなに広くて何かあったとき大丈夫かな?」
とふと頭をよぎる空間で楽しく暮らせるのでしょうか。
どんなに素敵なデザインも、快適な空間も
安心安全がベースにあるからこそです。
耐震等級のメリットデメリットを調べる前に、
何のために家を建てるのかを考えていただきたいと思います。
制度の優遇などは、安全についてくる”大きなおまけ”ぐらいに考えるぐらいが良いと思います。
ということで、
何度もお伝えすることになりますが、
耐震基準は、最低限の耐震強度であること、
その上で、自分の家はどれぐらいの耐震強度があれば安心して暮らせるか。
万一の時に後悔しない家づくりを前提に考えてみてください。